シンママ派遣社員とITコンサルの美味しい関係
第九話「昇格の噂」
昼休み、美咲は派遣仲間の清水友紀子とカフェテリアへ向かった。
美咲はいつものように持参したお弁当、友紀子はカフェテリアのヘルシーランチをトレーに乗せて席に着く。
「今日のヘルシーランチは、蒸し鶏のサラダか……それにしても、ヘルシーとか言いつつパンついてるのね」
友紀子がフォークを手にしながらぼやく。
「パンがないとお腹すくでしょ」
「まあね。でも、これじゃカロリーオフの意味ない気がする……。あ、そうだ。美咲の部の岡田さん、イケボよね。独身かしら? 美咲、知ってる?」
「知らないわ。部は同じだけど、聞いたことない」
「そっかぁ……まあ、既婚かどうかはともかく、あの声は最高よね。ああいう低音ボイス、たまらないわ~」
相変わらず社内の男性の話で盛り上がる友紀子に、美咲は苦笑する。
「そういえば、最近、美咲のところによく来てる瀬尾さんだけど」
「瀬尾さんが、どうしたの?」
「L4に昇格したらしいよ。入社6年目でしょ……28歳でL4は、最短レベルじゃないかしら」
美咲は驚いて箸を止めた。
L3までは部長の判断で昇格が決められるが、L4以上になるにはレビューボードを通過しなければならない。
つまり、会社全体で相当の実績と能力が認められなければ、L4には上がれない。
――28歳でL4……確かに早い。
「なんで、そんなこと知ってるの」
「絵美里に聞いた。知らなかった?」
「ええ、初耳」
友紀子の情報網の広さには、改めて感心する。
美咲は瀬尾の冷静で的確な仕事ぶりを思い出しながら、彼が昇格したことにも納得した。
――すごい人なんだ……。
それでも、彼が仕事とは別に見せる、料理好きな一面を思い出すと、なんだか不思議な気持ちになる。
「改めて考えると、すごいわね……」
そう呟くと、友紀子がニヤリと笑った。
「ふーん? なんか気になる感じ?」
「別に。ただ、優秀な人なんだなって思っただけ」
「ふーん……」
友紀子は意味ありげな視線を送りながら、サラダを口に運んだ。
美咲はそれを軽く流しながら、残りのお弁当に手をつけた。
美咲はいつものように持参したお弁当、友紀子はカフェテリアのヘルシーランチをトレーに乗せて席に着く。
「今日のヘルシーランチは、蒸し鶏のサラダか……それにしても、ヘルシーとか言いつつパンついてるのね」
友紀子がフォークを手にしながらぼやく。
「パンがないとお腹すくでしょ」
「まあね。でも、これじゃカロリーオフの意味ない気がする……。あ、そうだ。美咲の部の岡田さん、イケボよね。独身かしら? 美咲、知ってる?」
「知らないわ。部は同じだけど、聞いたことない」
「そっかぁ……まあ、既婚かどうかはともかく、あの声は最高よね。ああいう低音ボイス、たまらないわ~」
相変わらず社内の男性の話で盛り上がる友紀子に、美咲は苦笑する。
「そういえば、最近、美咲のところによく来てる瀬尾さんだけど」
「瀬尾さんが、どうしたの?」
「L4に昇格したらしいよ。入社6年目でしょ……28歳でL4は、最短レベルじゃないかしら」
美咲は驚いて箸を止めた。
L3までは部長の判断で昇格が決められるが、L4以上になるにはレビューボードを通過しなければならない。
つまり、会社全体で相当の実績と能力が認められなければ、L4には上がれない。
――28歳でL4……確かに早い。
「なんで、そんなこと知ってるの」
「絵美里に聞いた。知らなかった?」
「ええ、初耳」
友紀子の情報網の広さには、改めて感心する。
美咲は瀬尾の冷静で的確な仕事ぶりを思い出しながら、彼が昇格したことにも納得した。
――すごい人なんだ……。
それでも、彼が仕事とは別に見せる、料理好きな一面を思い出すと、なんだか不思議な気持ちになる。
「改めて考えると、すごいわね……」
そう呟くと、友紀子がニヤリと笑った。
「ふーん? なんか気になる感じ?」
「別に。ただ、優秀な人なんだなって思っただけ」
「ふーん……」
友紀子は意味ありげな視線を送りながら、サラダを口に運んだ。
美咲はそれを軽く流しながら、残りのお弁当に手をつけた。