敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜
「キス、してもいい?」

自分でも驚くくらい甘えた声が出た。

木崎が一瞬驚いたようにまばたきして、次の瞬間、真っ赤になりながら小さく頷く。その仕草がたまらなく愛おしい。

「……可愛い」

耐えきれず、唇を重ねた。
触れた瞬間、彼女の唇が震えているのが分かる。

「緊張してる?」

くすぐったそうに笑うと、木崎が拗ねたように頬を膨らませる。

「当たり前じゃないですか……」
「……もっと慣れてもらわないと困るな」

冗談めかして言いながら、彼女の手をそっと引き、もう一度抱き寄せた。

「……え?」
「木崎を抱きしめられるのが嬉しくて仕方ない。だから、しばらく甘やかさせて」

頬に触れると、彼女はくすぐったそうに目を細める。

「ずっと俺の隣にいて。何があっても俺が守るから」

その言葉に、彼女は涙ぐみながら笑った。
この瞬間、彼女を二度と離さないと心に誓った。

「あ、そうだ、付き合ったついでに、ちょっと提案があるんだけど……」

ずっと心の奥で考えていたことがあった。

その提案が木崎にとっていいものになるかが分からずずっと言えなかったけど、思いが伝わり合った今、それは伝えるべきだと思った。

木崎が不思議そうに顔を上げる。俺は笑みを浮かべながら、その続きを告げた。
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