いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 三つ子はすっかり裕斗に懐いて、彼の訪れを楽しみにしている。

 一度だけ、麻衣子が東京に行き、裕斗の休憩時間に一緒にランチをした。

 午前中に会社が主催する研修に参加したついでだったが、裕斗は喜んで、フレンチレストランの個室を予約してくれた。

 ラグジュアリーでとても高そうなレストランで、麻衣子は気後れしそうになった。

 裕斗はネイビーの上質なスーツ姿で、容姿はもちろん品のある振る舞いも、高級レストランに相応しい。そんな人が幸せそうな顔で麻衣子をエスコートしてくれている。

 店内には綺麗な女性が何人もいるけれど、裕斗は誰にも見向きもせず、麻衣子だけを見つめている。

 ふたりで向き合って食事をしていると胸がときめき、ロンドンで過ごした日々を思い出した。

 食後は、裕斗が駅まで見送ってくれた。

「今日はありがとう。素敵なレストランで食事も美味しかった」
「気に入ったならよかった」

 裕斗がうれしそうに目を細める。麻衣子もつられて微笑んだ。

「仕事、忙しいんだよね。無理しないでね」

 近い内にスイスで国際会議があり裕斗も向かう。同僚のひとりが入院していることもあり、多忙だそうだ。

「ああ。麻衣子も気を付けて帰れよ」
「うん、それじゃあ」

 麻衣子は手を振って、改札に向かう。振り返ると裕斗はその場から動かず、麻衣子を見ていた。目が合うと軽く手を振ってくる。
 麻衣子はくすりと笑って、大きく手を振ってから改札を通った。

 裕斗との距離が近づいたのを実感する。

 当たり前のように手を振りあって、約束をしなくても、また会えるだろうと思っているのだから。


 数日後、裕斗が埼玉にやって来て、三つ子と遊んだ。

 麻衣子はそろそろ裕斗が父親なのだと打ち明けてもいいかと、考えている。

 ただ、その前に裕斗とやり直すのかを、はっきりしなくてはいけないと思った。
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