いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「そうなんです。小春はともかく男の子ふたりは同じように育てたつもりだけど、一歳になる頃には個性がはっきりして来て」
「生まれついての性格もあるんだろうな。それから……」
裕斗が一旦言葉を切った。
(どうしたのかな?)
「大樹君と柚樹君は、俺に似ている気がする」
裕斗が少し照れたようにつぶやいた。
「あ……私もそう思っていました」
ふたりを見ているとき、自然と裕斗の姿が思い浮かんだ。
裕斗がふっと目を細めた。
「もしかして、俺のことを思い出してくれた?」
「え……」
「そうだったら、いいんだけどな」
「……思い出していました」
「……本当か? うれしいな」
本当はそんなことを言うつもりはなかったのに、裕斗の表情があまりに寂しそうに見えたものだから、つい本音を零してしまった。
「あの、今更になるけど、子供を産んだことを黙っていてごめんなさい」
裕斗が大樹たちと接する楽しそうな姿を見て、自分の罪深さを改めて実感した。
「その謝罪はもうしてもらったし、麻衣子が悪い訳じゃない」
「でも、私のせいで裕斗さんは子供の成長を見ることが出来なかったから」
裕斗が、遊具で遊ぶ三つ子に視線を移しながら口を開く。
「確かにそれは残念だが、子供たちとの思い出はこれからだって作ることができる。俺は何かを失ったとは思っていない。むしろ麻衣子と再会してなくしていたものを取り戻したような気でいるんだ」
裕斗が再び麻衣子を見つめて、優しく微笑む。
「裕斗さん……」
「だから、これから先の人生を麻衣子と子供たちと共に歩んでいきたい。前向きに考えてくれないか?」
「……はい」
問題点がいくつもあることは分かっているけれど、裕斗の真剣な想いが伝わってきて、拒否することなんてできなかった。
裕斗がほっとしたように、表情を和らげる。
「ありがとう。あともう一つ頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
「以前のように話してほしい。敬語だと距離を感じるんだ」
「分かりました……いえ、分かった」
裕斗が微笑み、ふたりの間を優しい空気が流れる。
「離れていた四年の間、お互い様々なことがあったと思う。少しずつ歩み寄れたらと思ってる」
裕斗の言葉に、麻衣子はそっと頷いた。
その後、裕斗は週末ごとに麻衣子の暮らす街にやって来て、三つ子との交流を持った。
彼曰く、三つ子はまだ幼いから、間隔をあけると忘れられそうで心配だからとのことだ。