いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

 新しい年の始まり。

 裕斗が新年の挨拶に、麻衣子の家にやってきた。

「ひろとくん、あけましておめでとーございます」

 いつもよりもおしゃれな服を着た三つ子が、裕斗を出迎える。

「あけましておめでとう」

 裕斗は三つ子、ひとりひとりに挨拶をして、お年玉を渡すと、少し離れた場所で見守っていた麻衣子と絵麻に目を向けた。

「麻衣子、絵麻さん、新年あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます。裕斗さん中にどうぞ。おせちを用意したんですよ」

 絵麻が気さくな様子で言う。

 もう何度か顔を会わせて、裕斗と絵麻はだいぶ打ち解けていた。

「おせちか。もしかして絵麻さんの手作りか?」
「ええ。お姉ちゃんと一緒につくりました」
「私は手伝っただけだよ」

 絵麻がつくったお節をみんなでおしゃべりをしながら食べる。
 食事を終えて、子供たちが落ち着いたタイミングで、麻衣子は三つ子に呼びかけた。

「だい、ゆず、はる。こっちに来てくれる」
「ママ、どうしたの?」

 三つ子がすぐにやってくる。
 三人並んで不思議そうな顔で見上げてきた。
 麻衣子は緊張を覚えながら、裕斗をちらりと見遣りそして口を開いた。

「今日は三人に大事な話があるの」
「だいじなはなし?」

 こはるが、こてんと首をかしげる。

「そう。ちゃんと聞いてね」
「はい!」

 よい返事が返ってくる。

「裕斗さんはね、だいとゆずとはるのお父さんなの」

 三人が無言で裕斗を見つめる。

「……おとうさん? パパ?」

 緊張を破って声を出したのは柚樹だった。

「ああ、そうだ。君たちのパパだ」

 裕斗が膝をつき、語り掛ける。

「パパ!」

 大樹が裕斗に抱き着いた。
 柚樹と小春も大樹に続く。

「パパ!」
 子供たちが受け入れられるか心配だった。けれどそれは杞憂で、輝くような笑顔が裕斗を囲んでいる。

「お姉ちゃん、よかったね」

 絵麻が麻衣子の肩をぽんと叩いた。

「絵麻……うん、ありがとう」

 雨村家のリビングに、幸せな笑顔があふれる。

 それは幸せな新年の始まりを予感させるものだった。

                      


 

 
 




 
 
 
 
 
< 134 / 134 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:334

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
公爵令嬢のメレディスは不治の病に罹ったため婚約破棄となり地方に旅立つことになった。 道中で盗賊に襲われるが、王弟カイエンに助けられる。 冷酷と噂のカイエンだが、メレディスにだけは優しくて…… 加筆修正したものを、マカロン文庫6月刊で書籍化予定です。
第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました

総文字数/102,602

恋愛(オフィスラブ)172ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
楠木千咲(くすのきちさき)はとある事情で急ぎの婚活中。 ある日、勤務先でリリース予定ののマッチングサービスに登録したら相手がまさかの社長水無瀬澄春(みなせすにはる)だった。 千咲はハイスペックだけれど厳しく冷たい澄春との結婚に及び腰だったけれど、一緒に過ごしている内に段々と惹かれていき……。 ※加筆修正したものを、2026年6月 ベリーズ文庫六月刊として書籍化予定です。
結婚なんて興味なし!なのに怜悧なパイロットが契約婚で溺愛豹変して
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
西條香澄 28歳 航空会社調達部勤務 × 天谷武流 31歳 将来有望な副操縦士 価値観が合わないふたりが、それぞれの事情のために契約結婚を。 お互い干渉し合わないようにつもりだったけれど、一緒に生活をしているうちに、意外と気が合うのが分かり…… ◇加筆修正(特に後半)したものがベリーズ文庫2月刊で発売予定です。よろしくお願いいたします。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop