いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
気が付くと、裕斗に抱きしめられていた。
お互い何も見に着けておらず、肌の感覚が直に伝わってくる。
「目が覚めた?」
裕斗が愛しそうに目を細める。
「あ……うん。私、寝ちゃってたんだね」
「三十分くらいだけどね」
裕斗が麻衣子の乱れた髪を直してくれる。
「ありがとう……んっ」
微笑んでお礼を言うと、唇をふさがれた。
そのまま深いキスに進んでいく。
しばらくすると裕斗が名残惜しそうに体を起こした。
「ようやく麻衣子を取り戻したと思うと、離したくないな」
「……今日はもう少しゆっくりできるの。子供たちは絵麻が見てくれていて」
「本当か」
裕斗がうれしそうに、麻衣子の頬に顔を寄せる。
麻衣子もくすくすと笑いながらキスを受けようとして――ぐうとお腹が派手に鳴った。
裕斗が目をまるくしてぴたりと動きを止める。麻衣子はかあっと頬を染めた。
「ご、ごめん!」
(こんなときに、爆音を立てちゃんなんて)
裕斗と食事をするつもりで、何も食べていなかったのがよくなかった。
慌てる麻衣子に裕斗が楽しそうに笑う。
「ルームサービスを頼もうか。食事にしよう」
「うん」
食事が届くまで、さっとシャワーを浴びて汗を流した。
スキンケアをしていると、裕斗が頼んでくれた料理が届く。
夜遅いため重いコースではなくて、リゾットとサラダなど。
高級ホテルだけあって、どれも絶品で最高だった。
食後はシャンパンを開けて乾杯をした。
ダイニングの窓の向こうには煌びやかな夜景が広がり、忙しい現実を忘れさせる。
景色を眺めてしばらくすると裕斗が口を開いた。
「麻衣子に話しておくことがあるんだ」
「これからのこと?」
「それもあるが、麻衣子たちが転居する原因になった藤倉氏のことだ」
「え?」
動揺する麻衣子を、裕斗がそっと抱き締める。
「藤倉議員と息子を告発することにした。二度と麻衣子のような被害者が出ないように。既に示談を終えているから、麻衣子のお母さんの事件で慰謝料を取れないが」
「でも、そんなことをして、裕斗さんは大丈夫なの? 嫌がらせをされたりは?」
「上手くやるから大丈夫だ。麻衣子と同じように藤倉家の被害にあった協力者もいるんだ」
「そんな……」
「麻衣子はどうしたい?」
「私は……あの人たちの被害者がこれ以上でないようにしたい。絵麻も亡くなった母もきっと同じように言うと思う」
「分かった。必ず正統な裁きを受けて貰おう」
裕斗が力強く言う。
「ありがとう……ありがとう裕斗さん」
麻衣子の中に最後まで残った後悔が解けて消えていく気がした。