いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
難しい問題は一旦置いて、麻衣子は絵麻と共に家を出た。
母が事故後運び込まれたのは、自宅から五駅先にある総合病院だ。
ロビーは診察待ちの患者で込み合っている。
母の病室は三階のナースステーションの近くにあった。
四人部屋の窓側で、薄いカーテン越しに柔らかな日差しが差し込んでいる。
「麻衣子!」
ベッドに上半身を起こしぼんやりと窓の方を眺めていた母は、麻衣子に気づくとぱっとうれしそうな笑顔になった。
「いつ帰って来たの?」
「今日の昼過ぎに」
麻衣子と絵麻は、ベッド脇の椅子に腰を下ろした。
「もしかして、私のせいで帰国したの? 勉強は?」
母が申し訳なさそうに眉を下げた。
「ちゃんと卒業したよ。ちょうど帰国のタイミングだったの。それよりも怪我はどんな感じなの?」
母の右手には包帯がぐるぐる巻かれている。
「骨折して手術をしたんだけど、今はもう大丈夫よ」
母はなんどもないように言うが、手術をしたのならかなり酷い怪我だったはずだ。
(玲人さんはかなりスピードを出していたのかもしれない)
相当なスピード違反をしていたのだとしたら、母の過失度合が減るのではないだろうか。