いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「事故の方は無事解決したのか?」
裕斗の問いに、心臓が跳ねる。
「あ……それは今話し合い中」
「そうか。困ったことが有ったら遠慮せずに頼ってくれ。すぐに駆け付けるのは難しいが、交渉事に強い知人が何人かいるから、紹介できる」
裕斗は子供の頃は海外で育ったが、日本の大学を卒業して官僚になったから日本国内での人脈も広い。大学時代の旧友に弁護士もいると、何かの話をしているときに聞いた覚えがある。
「ありがとう。揉めそうだったら頼るね」
不安だった心が、穏やかになる。
ただできるなら、頼ることがないといいなと思う。
彼の旧友との初対面は、トラブルの報告ではなく、幸せな報告のときにしたいから。でも、どうしようもなくなったら、頼らせてもらおう。
「……やっぱり離れていると心配になるな」
裕斗がしみじみ零した。
「うん……私も裕斗さんが無理をして、また徹夜していないか心配」
彼は自分はショートスリ―パーだからと、忙しいときに睡眠時間を削りがちだ。
「それなら早く帰国して、麻衣子を安心させないといけないな」
裕斗の声に優しさが滲んだ。
「うん……早く会いたいな」
遠距離は心も離れると聞いたことがあるけれど、麻衣子に限っては当てはまらないようで、ますます裕斗への想いが増しているようだった。
その後少し話をしてから通話を終えた。本当はもっと話したかったけれど、裕斗の仕事の邪魔をしてはいけない。
彼の声が聞こえなくなると、途端に寂しさがこみ上げた。
やっぱり電話では物足りない。日本とイギリスと、遠く離れた距離を実感して切なくなる。
(裕斗さん……)
麻衣子は彼を思いながら目を閉じた。
自覚している以上に疲れていたようで、あっという間に睡魔が押し寄せた。