いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
母の怪我の回復は順調だった。絵麻は麻衣子が帰国したことにより気が楽になった様子で、仕事に集中できているようだった。
事故のときに病院での手続きなど、たったひとりで対応したのだから相当な緊張感だっただろう。
麻衣子は帰国したらすぐに仕事に就くつもりでいたが、予定を変更して落ち着くまでは母と絵麻のフォローをすることにした。
正社員として働いた六年間は、とにとにかく節制して必要経費以外は貯金に回していた。留学で多くを使ったが、もともと無駄遣いをしないタイプあんおで、当分生活するくらいなら余裕はある。
問題は玲人側との交渉だった。
彼は麻衣子の母に非があるとかなり怒っていたのだ。
賠償金を支払うにも、母は最低限の保険しか入っていないし、そもそも支払いを認められるかが分からない。
法律の知識がない麻衣子が対応するのは限度があると、前職の伝手で知人の弁護士に依連絡をして依頼に応じて貰えることになった。
ところが数日後に、やはり力になれないと断られてしまったのだ。
納得がいかなかったが、正式な契約をする前だったので、どうしようもない。
最終手段で裕斗の伝手を借りようと考えていたところ、玲人の代理人が訪ねてきた。
突然の訪問に戸惑いながらも、まずは話を聞いてみようと思い近くの喫茶店に移動した。
店内の奥まったテーブル席に着いた代理人は、四十歳前後と思われる男性だった。長身ですらりと痩せている。シルバーフレームの眼鏡の向こうの、目じりが吊り上がった目から冷ややかな印象を受ける。彼は麻衣子に名刺を差し出した。