いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

「藤倉家の代理人を務める、高橋と申します」

 素早く確認した名刺には、肩書が記されていた。

「雨村麻衣子です」

 挨拶が終わるとすぐに本題にはいった。

「今回の事故で、玲人さんは多大な損害を受けました。しかし依頼人はこの件について、問題を大きくせずに、早々に和解したいと考えています」

「はい。こちらとしても、話し合で解決したいと思っています。ただ玲人さんが仰る賠償金が、あまりに高額なので……」
「払う気がないのなら、はっきりそうおっしゃってください」
「いえ、そうではありません。ただ私は事故の賠償について詳しくないので、専門家に相談してからと思っています」
「先ほども申し上げましたが、この件は時間をかけられません。引き延ばすのは、雨村さんにとっても不利になり後悔することになりますよ」

 話の途中で麻衣子は違和感を持った。

 賠償金を支払えと言う話し合だと思い聞いていたが、代理人が望んでいるのは、賠償金の支払いではないような雰囲気なのだ。

(考えてみたら、モデルとして成功して、親は政治家という人が、お金に拘る?)

 麻衣子は、仕事を失った補填を求められていると思い込んでいたが、実は違うのかもしれない。

「では、どうすれば……」

 代理人がビジネスバッグからファイルを取り出しテーブルの上で開いた。麻衣子に見えるように向きを逆にする。

「この書類を読んで、サインをしてください。そうすれば、この件は終了します」
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