いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「せっかくだから少し話しませんか?」
「は、はい」
裕斗に促され、麻衣子は近くの三人掛けのソファに腰を下した。続いて裕斗が少し距離を空けて隣に座る。ふわりと爽やかなフレグランスの香が鼻をかすめてどきりとした。
「雨村さんは、亜里沙さんのクラスメイトと言っていたから留学生ですよね。いつイギリスに?」
裕斗が自然に話題を振ってきた。高くも低くもない聞き心地のいい声音だ。
「約一カ月ほど前、九月の初めです。慣れない環境に戸惑っていた私に、亜里沙から声をかけてくれたんです」
クラスメイトの多くはイギリス人で、留学生が少数だった。
日本にいる頃から英語の勉強を続けていたが、クラスメイトの流暢な会話について行けず、なかなか溶け込むことが出来ないでいた。
そんな中、亜里沙が話しかけてくれて、本当にうれしかったのだ。
彼女は日本で屈指の海運会社である浅霧汽船の社長令嬢だ。母親がイギリス人なので一見日本人には見えないが、日本生まれの日本育ちで麻衣子同様留学生だった。
同じ年で共通の話題が多かったことからすぐに打ち解けて、今日亜里沙の母親の実家で開いたホームパーティーに招待してもらうほどの仲になれた。
「気が合う友人ができてよかったですね」
「はい。友人が増えるように気を遣ってパーティーにも誘ってくれたんです。ただこういう場は初めてだから緊張してしまって」
麻衣子が周囲を見回しながら言うと、裕斗が理解を示すように頷いた。
「誰でも初めはそうなりますよ。雨村さんはどんな勉強を?」
「はい、あの、園芸と語学を学んでいます」