いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「お姉ちゃん、行ってくるね」
絵麻が出勤するのを見送った麻衣子は、一通りの家事を済ませると温かいお茶を淹れてダイニングテーブルに腰を下ろした。
ほっと一息ついてからノートパソコンを開く。
これから一時間くらい仕事探しをしてから、母のお見舞いに行く予定を立てている。
せっかくイギリスでフラワーアレンジメントや園芸について勉強をしてきたのだから、それを活かせるような仕事に就きたい。
とはいえ、最優先は勤務時間など条件面だ。この先母がリハビリ段階に入ったら、手続きやフォローで休みを取る必要が出てくる可能性が高いから融通が利いた方がいいだろう。
(早く仕事を探さなくちゃ)
貯金もだいぶ減ってしまった。藤倉家からの慰謝料はどうするかまだ決めていないけれど、生活費には使いたくないからなるべく早く仕事を決めたい。
(あ……近くのショッピングセンターのフラワーショップがパートを募集しているんだ)
パートタイムで時給が低めだが、時間の融通は効きそうだ。母がある程度回復するまでは、シフト制の仕事にしようか。
そんなことを真剣に考えていたときのことだった。
「……あれ?」
くらりと目が回ったような感覚に襲われた。
(地震?……違う、目眩?)
麻衣子はうつむき右手で頭を押さえた。
しばらくすると目眩が収まってきたが、今度は胸の奥から吐き気がこみ上げてくる。
どうやら体調を崩してしまったようだ。
(帰国してから慌ただしかったから疲れが出たのかな?)
ここ数年、軽い風邪すら引かず健康だったから、多少無理をしても問題ないと思っていたのだけれど。
麻衣子は求人の検索を止めて、ノートパソコンを閉じた。
風邪だとしたら、今日は病院に行かないでゆっくりした方がいいかもしれない。
母が気になるが、万が一入院中の患者に風邪をうつしてしまったら大変だ。
(一日休めばきっとよくなるよね)
そう思ったのに、その日以降、麻衣子の体調は悪化をたどることになった。