いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「……陽性?」
自宅のトイレの中で妊娠検査薬を手にした麻衣子は呆然と呟いた。
体調不良が続いたから、もしかしてと思い検査した。心当たりがない訳ではなかったが、まさか本当に妊娠していたとは。
ざっと血の気が引いた気がした。
(裕斗さんとの子供が出来ていたなんて……)
動揺が大きいせいか体が上手く動かない。
ふらふらと覚束ない足で、トイレを出て自室に入り扉を閉めると、その場にずるりと座り込んだ。
(どうしよう……どうしたらいいの?)
彼とあんなふうに別れてから、妊娠が分かるなんて。
別れを告げたあの日を最後に、裕斗とは完全に縁が切れている。
翌日のその次の日も、彼から連絡は一切なかった。
その後麻衣子は携帯電話の番号を変更したから、裕斗は麻衣子の連絡先を知らない。
もう完全に終わっているのだ。
妊娠したからと言って、今更相談を持ち掛けるなんてできるわけがない。
それに麻衣子は裕斗の足かせになるのが嫌で身を引いたのだ。それは子供がいるからと言って変わることではない。
(裕斗さんには頼れない……ひとりでなんとかしないと)
「まずは病院に行かなくちゃ。それから……妊娠したらどうすればいいんだろう?」
麻衣子は自分の手をじっと見つめた。抑えようとしているのに、カタカタと震えてしまっている。
自分がどう行動すればいいのか何も分からない。
親しい友人は独身が多い。探せば出産経験のある知人がいるかもしれないけれど……。
(でも私みたいにひとりで産む人なんて、きっといない)
シングルマザーが確定しているうえに、親や親族に頼ることもできない。妊娠を望んでいた訳じゃないから知識もない。
(こんな私に子供を産んで育てることなんてできるの?)
不安で心が押しつぶされそうだ。これからどうなるのか怖いとすら感じる。
じわりと涙が浮かび頬を流れた。すると涙腺が決壊したように次から次への涙があふれ、気づけば号泣していた。