いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 ただ、絶望的な気持ちになりながらも、結局麻衣子を諦めることができないでいる。

 時間が経つにつれて、麻衣子が別れを言い出したのは、なにか事情が有ったのかもしれないと考えるようになった。

 自分でも未練たらしいと分かっているが、どうしても信じられない。

 冷静に考えても違和感があった。麻衣子の人柄はよく分かっている。突然の別れはあまりに彼女らしくないと思うのだ。



「羽澄、来週のマンチェスター市長との会談だけど……」

 日課の報道チェックを終えたタイミングで、同僚の冴島三等書記官が近づいてきた。

「その件は引き継ぐから、三十分くらい時間をつくってくれないか」

「え? ああ、そういえば明日から休暇帰国だったな。慌ただしそうなのはそのせいか」
「まあな」

 裕斗はひっそりとため息を吐いた。

 先週は日本から国会議員は数人訪れた。誘致した日本企業の視察同行や、英日議連が開催したレセプションへの出席など、通常よりもスケジュールが詰まっていたため、帰国の間の引き継ぎが出来ていなかった。

 本来は麻衣子の家族に結婚の挨拶をするための帰国休暇だったが、状況が変わってからも、裕斗は休暇を取り辞めなかった。

 帰国したら麻衣子に会いに行くつもりだ。

 なんとか仕事を片付けてフラットに帰ると、大急ぎでパッキングをした空港に向かった。
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