いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
会話を楽しみしばらくしたとき、亜里沙が戻ってきて、麻衣子と裕斗の様子を見て目を丸くした。
「あら、すっかり仲良くなったみたいね」
「うん。羽澄さんが気を遣ってくれたから」
少し人見知りなところがあり、親しくなるまで時間がかかる麻衣子にしては珍しいほど初対面なのに会話が弾んだ。
(きっと羽澄さんが聞き上手だから)
人脈をつくるのは外交官の大切な仕事だと言っていたから、コミュニケーション能力が高いのだろう。
それにとても優しい人だ。亜里沙が戻るまで、このような場に不慣れな麻衣子をひとりにしないように側にいてくれたのだろうから。
感謝を感じながら、麻衣子は裕斗に目を向ける。
「羽澄さん、話し相手になってくださりありがとうございました。とても楽しかったです」
「俺も楽しかったよ。またあとで話を聞かせてほしい」
裕斗が麻衣子を見つめて微笑んだ。
「は、はい。私の話なんかでよかったら……」
社交辞令かもしれないが、楽しかったと言ってもらえてうれしかった。
その後は裕斗と別れ、亜里沙の知人を何人か紹介してもらった。他国からの留学生が多かったので、当然会話は英語だ。ついていくのに必死で気づいたときには、終わりの時間が迫っていた。
結局裕斗と話す機会は訪れなかった。
内心がっかりしながら帰ろうとしたとき、足音が近づいてきた。
「雨村さん!」
「え、羽澄さん?」
彼は麻衣子の前で立ち止まると、優しく微笑んだ。
「あとで話そうと言ったのに、連絡先を交換していなかったから」
「あ……そうですよね」
麻衣子の鼓動がどくんどくんと早鐘を打つ。
彼と関わる機会はもうないだろうと落胆していた心が、期待で舞い上がる。
喜びを感じながら、麻衣子はバッグからスマートフォンを取り出した。