いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
二か月前に帰国してすぐに、麻衣子の居場所を探した。
けれどやはり居場所が掴めなかった。心から彼女を愛していたけれど、ふたりの関係は脆いもので、彼女の日本での暮らしぶりは殆ど知らず、手がかりはなにもなかったのだ。
最終手段で調査会社に依頼もした。しかしプロの手でも行方は分からない。不思議なほど麻衣子の痕跡は綺麗に消えていた。
その後も裕斗なりに手を尽くしたが、状況がよくなる見込みはなく失望の日々を送っている。
仕事と家を往復するだけの日々。孤独を感じるが、誰かと付き合いたいとは思わない。
翌日、早起きをして相場が入院している青海総合病院を訪れた。
裕斗は初めて来た街だ。病院は駅から徒歩十分ほどの場所にあった。
粕屋は地方だと言っていたが、駅前には巨大なショッピングセンターが建ちかなり開けたベッドタウンという印象を受けた。
病院自体がかなり新しい。まるで公園のような中庭に、清潔で広々した院内。最新の設備が整っている。
「裕斗、来てくれたのか」
あらかじめ聞いていた病室に入ると、明るい声に迎えられた。
声の方に目を遣るとベッドの上で上半身を起こした相場がひと目で上機嫌だと分かる笑顔を向けている。
入院患者とは思えないほど顔色がよい。電動ベッドの角度を調整して背もたれにしている様子はリラックスして見える。
ベッド脇の椅子には、若い女性が座っていた。相場よりも少し年下だろうか。彼女は人が良さそうな笑顔をつくると、椅子から立ち上がり裕斗を出迎えた。
「どうぞ、こちらにいらしてください」
その態度で、彼女が相場の身内なのだと察する。
彼女の振る舞いを満足そうに眺めていた相場が、裕斗に向かって言う。
「婚約者の陽菜だ。陽菜、彼は俺の同僚の羽澄裕斗だ」
相場の発言に、陽菜の表情が更に明るくなる。
「はじめまして。相場がいつもお世話になっております。羽澄さんのことは、よく聞いているんですよ」
陽菜の態度は堂々としていて自身に溢れていた。相場との付き合いの長さを感じる。
「はじめまして。突然訪ねて申し訳ありません」
「いえ、とんでもないです。来て頂いてありがとうございます。東京からだと遠かったんじゃなりませんか?」
「いえ、思ったよりも近く感じました。初めて来ましたがよいところですね」
けれどやはり居場所が掴めなかった。心から彼女を愛していたけれど、ふたりの関係は脆いもので、彼女の日本での暮らしぶりは殆ど知らず、手がかりはなにもなかったのだ。
最終手段で調査会社に依頼もした。しかしプロの手でも行方は分からない。不思議なほど麻衣子の痕跡は綺麗に消えていた。
その後も裕斗なりに手を尽くしたが、状況がよくなる見込みはなく失望の日々を送っている。
仕事と家を往復するだけの日々。孤独を感じるが、誰かと付き合いたいとは思わない。
翌日、早起きをして相場が入院している青海総合病院を訪れた。
裕斗は初めて来た街だ。病院は駅から徒歩十分ほどの場所にあった。
粕屋は地方だと言っていたが、駅前には巨大なショッピングセンターが建ちかなり開けたベッドタウンという印象を受けた。
病院自体がかなり新しい。まるで公園のような中庭に、清潔で広々した院内。最新の設備が整っている。
「裕斗、来てくれたのか」
あらかじめ聞いていた病室に入ると、明るい声に迎えられた。
声の方に目を遣るとベッドの上で上半身を起こした相場がひと目で上機嫌だと分かる笑顔を向けている。
入院患者とは思えないほど顔色がよい。電動ベッドの角度を調整して背もたれにしている様子はリラックスして見える。
ベッド脇の椅子には、若い女性が座っていた。相場よりも少し年下だろうか。彼女は人が良さそうな笑顔をつくると、椅子から立ち上がり裕斗を出迎えた。
「どうぞ、こちらにいらしてください」
その態度で、彼女が相場の身内なのだと察する。
彼女の振る舞いを満足そうに眺めていた相場が、裕斗に向かって言う。
「婚約者の陽菜だ。陽菜、彼は俺の同僚の羽澄裕斗だ」
相場の発言に、陽菜の表情が更に明るくなる。
「はじめまして。相場がいつもお世話になっております。羽澄さんのことは、よく聞いているんですよ」
陽菜の態度は堂々としていて自身に溢れていた。相場との付き合いの長さを感じる。
「はじめまして。突然訪ねて申し訳ありません」
「いえ、とんでもないです。来て頂いてありがとうございます。東京からだと遠かったんじゃなりませんか?」
「いえ、思ったよりも近く感じました。初めて来ましたがよいところですね」