いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「危険運転の常習犯か。それなら事故履歴があるんじゃないか? 悪質なら刑事事件にした方がいいかもしれないな」
「そう思ったが、示談を申し出られて今は交渉中だ」
「示談?」
裕斗は思わず眉をひそめた。
相場は正義感が強いタイプで、今回のケースなら間違いなく示談にはしなそうなものなのに。
「政治家の息子だったんだよ。現役の衆院議員。大事にしたくないとかで、大金を積まれた」
「受け入れたのか?」
交通事故で示談になるのはよくある話だ。しかし、相場の話し方のせいもあるかもしれないが悪質な印象を受けて、金銭で解決するのは納得できない気持ちになる。
「受けたくないが、そうせざるを得ないんだ。外務省にも顔が利く力がある厄介な相手だ。意地を張って家族や陽菜を巻き込みたくないからな」
「まさか圧力をかけられたのか?」
示談に応じなければ、不利益を被るような内容を示唆されたとでも言うのだろうか。
「いや、脅迫はされていない。だが抵抗したら不利益を被るのは分かり切っているだろ?」
相場が諦めたように肩をすくめる。裕斗は思わず舌打ちをしたい気持ちになった。
言っていることは理解できる。
権力があり幅広い人脈を持つ代議士なんて敵にしたくない。結婚を控えた時期ならなおさらだ。
相場としては自分をまげてでも婚約者との未来を守りたいのだろう。
「大切なものがあると弱くなるよな」
相場が自嘲したように微笑む。もう示談で済ませると決めているのだ。
彼が決めたことなら、裕斗が横からどうこう言う訳にはいかない。
それでも不快感が胸の奥に燻っていた。
他にも相場のように被害を受けながら事を荒立てなかった者が他にもいるのかもしれない。もし自分が当時者になったらどうしていただろうか。
両親は裕斗が助けなくても十分に自衛できるし、今、自分には守らなくてはならない存在はいない。
(だがもし、麻衣子が側にいたら……)
自分も相場と同じ行動を取っていたのだろうか。そんなことを考えながら病室を出た。
受付によってから、出入口に向かう。
この後はいくつか予定を入れている。緊急ではないものの、休日にまとめて済ませておきたいものだ。
時刻を確認してから、再び前を向いたそのとき、裕斗はぴたりと動きを止めた。
思いもしなかった光景が視界に飛び込んできたからだ。
「そう思ったが、示談を申し出られて今は交渉中だ」
「示談?」
裕斗は思わず眉をひそめた。
相場は正義感が強いタイプで、今回のケースなら間違いなく示談にはしなそうなものなのに。
「政治家の息子だったんだよ。現役の衆院議員。大事にしたくないとかで、大金を積まれた」
「受け入れたのか?」
交通事故で示談になるのはよくある話だ。しかし、相場の話し方のせいもあるかもしれないが悪質な印象を受けて、金銭で解決するのは納得できない気持ちになる。
「受けたくないが、そうせざるを得ないんだ。外務省にも顔が利く力がある厄介な相手だ。意地を張って家族や陽菜を巻き込みたくないからな」
「まさか圧力をかけられたのか?」
示談に応じなければ、不利益を被るような内容を示唆されたとでも言うのだろうか。
「いや、脅迫はされていない。だが抵抗したら不利益を被るのは分かり切っているだろ?」
相場が諦めたように肩をすくめる。裕斗は思わず舌打ちをしたい気持ちになった。
言っていることは理解できる。
権力があり幅広い人脈を持つ代議士なんて敵にしたくない。結婚を控えた時期ならなおさらだ。
相場としては自分をまげてでも婚約者との未来を守りたいのだろう。
「大切なものがあると弱くなるよな」
相場が自嘲したように微笑む。もう示談で済ませると決めているのだ。
彼が決めたことなら、裕斗が横からどうこう言う訳にはいかない。
それでも不快感が胸の奥に燻っていた。
他にも相場のように被害を受けながら事を荒立てなかった者が他にもいるのかもしれない。もし自分が当時者になったらどうしていただろうか。
両親は裕斗が助けなくても十分に自衛できるし、今、自分には守らなくてはならない存在はいない。
(だがもし、麻衣子が側にいたら……)
自分も相場と同じ行動を取っていたのだろうか。そんなことを考えながら病室を出た。
受付によってから、出入口に向かう。
この後はいくつか予定を入れている。緊急ではないものの、休日にまとめて済ませておきたいものだ。
時刻を確認してから、再び前を向いたそのとき、裕斗はぴたりと動きを止めた。
思いもしなかった光景が視界に飛び込んできたからだ。