まだ誰も知らない恋を始めよう
 魔法士からのプロポーズのセリフ、具体的に上げたよ!?


「マッカーシーのご先祖様は、そんなくだらない色眼鏡で一族の女性を貶められるのを避けたくて、女性にはその能力が無い事にされたんでしょうね。
 ……それはそれで腹が立ちますけど、守りたい気持ちは分かります」


 想像だけではなく、恐らく実体験も交えたその言葉に、わたしは隣のフィニアスを見た。
 彼はわたしの目を見て、物凄い勢いで否定するみたいに頭を小刻みにふっていたけれど。


 彼も憧れの勇者の血筋を、友達なら喜んで受け入れてくれても、伴侶にとなると嫌がるんだろうな……と少しの寂しさと諦めで、わたしは頷いた。


「ちょっとー、師匠はまだまだ若いんだから、人生捨てて投げ遣りになるのは早いよ。
 それよりさ、これからの話をしよう。
 俺には見張りが付いてて、外れを追いかけられないからさ、そいつの名前だけ教えるわ」

「誰の仕業か、名前が分かるんですか?」


 魔法庁には報告しないとベッキーさんが仰ってくれたので、もうすっかり心は晴れて。
 
 現金で単純なわたしはフィニアスの腕を振りほどいて、オルくんに向かって身を乗り出した。
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