まだ誰も知らない恋を始めよう
46 魔法士には負けたくないわたし
オルくんには見えていた。
フィンに掛けられた古代の黒魔法が単純なものじゃない、それは姿を消す事から始まって、時間が経過すると悪い方へ転がっていくだろう、って。
「余程何重にも掛けたんだろね、見えない魔法、話せない魔法、触れない魔法……後はまだ分からないな」
魔法学院の応接室で、ベッキーさんやフィンの前で彼が言った言葉を、兄に伝えた。
「多重魔法が掛けられていたのか……それはいずれ、フィニアスの命を奪うものまで?」
「そこまではっきりとは見えていないからこそ、オルくんはわたしに早くと急かしたんだと思うの」
「一応、フィニアスの前ではそれを口に出さない良心は持ち合わせていて、心を読み取れるお前にそれを教えたのか……
だが急がないといけないのなら、ベッキーがそれを俺に伝えなかったのは何故だ?」
「ベッキーさんには教えていないんでしょう」
あのオルくんなら、真っ直ぐな気性のベッキーさんには伝えないでしょうね。
「そんな大事な事を教えないって?
それに、お前がそいつの心を読めたってことは、その悪ガキ、碌なもんじゃねぇな?」
フィンに掛けられた古代の黒魔法が単純なものじゃない、それは姿を消す事から始まって、時間が経過すると悪い方へ転がっていくだろう、って。
「余程何重にも掛けたんだろね、見えない魔法、話せない魔法、触れない魔法……後はまだ分からないな」
魔法学院の応接室で、ベッキーさんやフィンの前で彼が言った言葉を、兄に伝えた。
「多重魔法が掛けられていたのか……それはいずれ、フィニアスの命を奪うものまで?」
「そこまではっきりとは見えていないからこそ、オルくんはわたしに早くと急かしたんだと思うの」
「一応、フィニアスの前ではそれを口に出さない良心は持ち合わせていて、心を読み取れるお前にそれを教えたのか……
だが急がないといけないのなら、ベッキーがそれを俺に伝えなかったのは何故だ?」
「ベッキーさんには教えていないんでしょう」
あのオルくんなら、真っ直ぐな気性のベッキーさんには伝えないでしょうね。
「そんな大事な事を教えないって?
それに、お前がそいつの心を読めたってことは、その悪ガキ、碌なもんじゃねぇな?」