まだ誰も知らない恋を始めよう
碌なもんじゃねぇオルくんの、人を舐めた笑いをわたしは思い出す。
「魔法学院創設以来の天才だの何だの持ち上げられて、いい気になってるんだな」
「わたしが見たところ、オルシアナス・ヴィオンって子供は、あのニール・コーリングとは方向性は違うけれど、いけ好かないクソガキで」
乙女としては絶対に口にしてはいけない『クソ』をわたしが発したのを、兄が生真面目に睨むが、最近連発しているせいで、わたしには抵抗感無く使えるの。
「女の子がクソなんて言葉を……」
成人済みのわたしに『女の子』はやめてほしいけど。
「でも、ニールよりマシなのは、本人が自覚してる事かな。
彼は歪んだ正義感は振りかざさない」
オルくんは自分の性格が悪い事を自覚している。
そのうえで、わたしに対して意地悪と言うか、対抗心を燃やして、わざと心を読ませた。
けれど、そこに嘘は無い。
確かに、オルくんはフィンの命が危ないかも、とわたしに警告して、ノートの切れ端まで用意してくれたのだ。
「魔法学院創設以来の天才だの何だの持ち上げられて、いい気になってるんだな」
「わたしが見たところ、オルシアナス・ヴィオンって子供は、あのニール・コーリングとは方向性は違うけれど、いけ好かないクソガキで」
乙女としては絶対に口にしてはいけない『クソ』をわたしが発したのを、兄が生真面目に睨むが、最近連発しているせいで、わたしには抵抗感無く使えるの。
「女の子がクソなんて言葉を……」
成人済みのわたしに『女の子』はやめてほしいけど。
「でも、ニールよりマシなのは、本人が自覚してる事かな。
彼は歪んだ正義感は振りかざさない」
オルくんは自分の性格が悪い事を自覚している。
そのうえで、わたしに対して意地悪と言うか、対抗心を燃やして、わざと心を読ませた。
けれど、そこに嘘は無い。
確かに、オルくんはフィンの命が危ないかも、とわたしに警告して、ノートの切れ端まで用意してくれたのだ。