まだ誰も知らない恋を始めよう
「これ、アリア叔母さんに渡してくれるか」
職員宿舎へ帰る兄から1通の封筒を渡された。
わたしがケーキとお茶の用意をしている間、兄が自分の部屋に居たのは、手紙を書いていたのだろうか。
「あれから、ずっとご無沙汰していて。
本来なら一緒に行って、俺も頭を下げるべきなんだが、今は休みが取れなくてな。
よろしくお願い致します、と伝えて」
兄から叔母宛の手紙を受け取り、今夜もわたしはお風呂に入った。
約9年ぶりに会うアリア叔母様に失礼が無いように、今日も磨き立てる。
思い返せば、叔母は匂いに敏感な人だった。
濡れたわたしの左手薬指には、あの指輪が光っている。
その存在に気付いていたのに、敢えてなのか、兄はわたしに何も尋ねなかった。
わたしの、いやマッカーシーの力で、何処までメイトリクスを追えるのかは分からない。
けれど、絶対に簡単には白旗は揚げない。
待ってろ、オルシニアス・ヴィオン。
喰ってやる、と言って瞳を輝かせた君の目の前まで、外れを連れてきてやるから。
職員宿舎へ帰る兄から1通の封筒を渡された。
わたしがケーキとお茶の用意をしている間、兄が自分の部屋に居たのは、手紙を書いていたのだろうか。
「あれから、ずっとご無沙汰していて。
本来なら一緒に行って、俺も頭を下げるべきなんだが、今は休みが取れなくてな。
よろしくお願い致します、と伝えて」
兄から叔母宛の手紙を受け取り、今夜もわたしはお風呂に入った。
約9年ぶりに会うアリア叔母様に失礼が無いように、今日も磨き立てる。
思い返せば、叔母は匂いに敏感な人だった。
濡れたわたしの左手薬指には、あの指輪が光っている。
その存在に気付いていたのに、敢えてなのか、兄はわたしに何も尋ねなかった。
わたしの、いやマッカーシーの力で、何処までメイトリクスを追えるのかは分からない。
けれど、絶対に簡単には白旗は揚げない。
待ってろ、オルシニアス・ヴィオン。
喰ってやる、と言って瞳を輝かせた君の目の前まで、外れを連れてきてやるから。