まだ誰も知らない恋を始めよう

47 作戦無しでぶつかるわたし

 翌日の火曜日、叔母の自宅を訪ねる前にシーズンズに寄り、手土産にお気に入りだった蜂蜜とベリー系の焼き菓子を購入して行く事にした。


 9年前に父と大喧嘩した叔母はその後直ぐに恋人と、彼の出身国へ渡り。
 家庭を持ち、5年前に離縁して、この国に戻ってきた。
 それ以来、兄とわたしは会いには行かなかったけれど、年に1度だけ新年祝いのカードは送り合っていて、叔母の現在の住所や勤務先も知っている。


 幸いにも火曜日は、王都内の公共文化施設の休館日に当たり、王立博物館に勤務する叔母もお休みなので、午前中の今ならまだ自宅に居るはずだ。
 
 お休みの日は朝寝坊して、ゆっくりブランチを取り、午後2時から動く。
 叔母の休日のルーティンは、今も変わってないだろう。



 午前11時の開店に合わせ、15分前にシーズンズに到着すれば、既に何人かのお客様が行列係から整理券を受け取っていた。
 授業があるから、わたしの勤務は基本週末なので、平日でも朝からこんなに並ぶとは知らなかった。

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