まだ誰も知らない恋を始めよう

56 変身した美女とわたし

「レディ・アリア、魔法学院で教鞭を取っておりますレベッカ・ヴィオンと申します。
 どうぞ、よろしくお願い致します」

「ヴィオンさん、アリア・マッカーシーと申します。
 姪のダニエルがお世話をお掛け致しました」

 2人の美女が初対面の挨拶を交わす横で、わたしはみっともなく慌てていた。


「え、お、ベッキーさん!?」

「えぇ、誰だか分からなかった?
 今夜の貴女はとても素敵ですね」

「いえ、いえ……ありがとうございます。
 ベッキーさ、さんこそ、お美しい……」   

 危なかった、ベッキー様、と言いかけた。 
 スラッとした完璧プロポーションの長身美女に褒められて、小柄な(絶対に自分ではチビとは言わない)わたしはデレた。  

 絢爛たる薔薇のような貴女様に比べたら、わたし等、道端のペンペン草ですが。
 

 そんなわたしを、隣の叔母が得意顔で見ている。
 今夜は、褒められたら否定せず、笑えと言われている。

 そうでした、今夜のわたしが素敵なのはアリア叔母様のおかげでした。
 レンタルしたドレスや靴や小物の選択を始め、ヘアメイクも叔母任せ。


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