まだ誰も知らない恋を始めよう
自分が準備した計画が狂ったからと言って、見せつけるとか、邪魔をしたとか。
まるで子供でも言わないような文句を平然と口にする、ロジャーの赤い瞳が怪しい光を帯びる。
「お前、生意気な女だな。
躾けられたいか」
不自然な位に近付いて来るから顔を背ければ、顎を掴まれた。
至近距離でわたしを脅す彼を突き飛ばして逃げたいのに、怖くて体が動かない。
ムカついても、黙って聞き流せば良かったの?
でも我慢出来なかった。
ステラ、駄目だよ、ロジャー・アボットは危ない。
こんな人と結婚なんかしちゃ、駄目……
突然、ロジャーの後方でガシャンと耳が痛い程の大きな音がした。
何かが上から落ちてきて、彼が覆い被さるようにして脅していたわたしには何も当たらなかったけれど、壊れて飛んだ破片がロジャーに当たったのか、彼は唸って、その場にしゃがみ込んだ。
何が落ちてきたのか、上を見上げれば。
見たこともない怖い顔をしたフィンが、吹き抜けの2階部分から、わたし達を見下ろしていた。
それからは大騒ぎになった。
フィンが狙った通りに、完璧なコントロールで2階から落とした陶器(またも貴重なお品だと思われる)は、見事な位に粉々に砕け、辺りに飛び散り。
階下に落ちた音が凄まじくて、わらわらと使用人達が持ち場から飛び出してきて。
少々離れた応接室からもペンデルトンご夫妻と叔母とベッキーさんが急いでやって来た。
そして、落下地点の直ぐ側に居たロジャーは頭を抱えてうずくまり、その傍らには驚いて化粧室から飛び出してきたステラが付き添っていて。
2人の横には、ロジャーに庇われて(本当は違うけれど)全くの無傷のわたしが立っていた。
まるで子供でも言わないような文句を平然と口にする、ロジャーの赤い瞳が怪しい光を帯びる。
「お前、生意気な女だな。
躾けられたいか」
不自然な位に近付いて来るから顔を背ければ、顎を掴まれた。
至近距離でわたしを脅す彼を突き飛ばして逃げたいのに、怖くて体が動かない。
ムカついても、黙って聞き流せば良かったの?
でも我慢出来なかった。
ステラ、駄目だよ、ロジャー・アボットは危ない。
こんな人と結婚なんかしちゃ、駄目……
突然、ロジャーの後方でガシャンと耳が痛い程の大きな音がした。
何かが上から落ちてきて、彼が覆い被さるようにして脅していたわたしには何も当たらなかったけれど、壊れて飛んだ破片がロジャーに当たったのか、彼は唸って、その場にしゃがみ込んだ。
何が落ちてきたのか、上を見上げれば。
見たこともない怖い顔をしたフィンが、吹き抜けの2階部分から、わたし達を見下ろしていた。
それからは大騒ぎになった。
フィンが狙った通りに、完璧なコントロールで2階から落とした陶器(またも貴重なお品だと思われる)は、見事な位に粉々に砕け、辺りに飛び散り。
階下に落ちた音が凄まじくて、わらわらと使用人達が持ち場から飛び出してきて。
少々離れた応接室からもペンデルトンご夫妻と叔母とベッキーさんが急いでやって来た。
そして、落下地点の直ぐ側に居たロジャーは頭を抱えてうずくまり、その傍らには驚いて化粧室から飛び出してきたステラが付き添っていて。
2人の横には、ロジャーに庇われて(本当は違うけれど)全くの無傷のわたしが立っていた。