まだ誰も知らない恋を始めよう
「メイトリクスが手に入れた古代魔術では、ベッキーさんの最新魔法には勝てない、と言う事でしょうか?」

 ベッキーさんの説明に質問を重ねていくのはダニエルだが、詳しく聞きたいのは俺も同じで、父もアリアさんも無言で2人のやり取りを聞いていた。
 将来は魔法庁で特務に就きたいと希望していた彼女はモーリス卿に叱られて、それを諦めたのかもしれないが、やはり魔法に関しての興味は失くしていなかった。


「魔法は日々進化しています。
 教本から得られるものも多いですが、現在は研究、アレンジ、実践が重要視されていて、洗練された魔法をいかに簡単に発現させられるか、がより優秀な魔法士の証であるとされています」

 
 こうして最新の魔法士事情を聞くと、古代魔術の秘本なんておどろおどろしいものが、本当は大した事ないんだと思えた。
 
 
「では、あの男は簡単に倒せますか?」

「簡単かどうかは、実際に対決しないと分かりませんが、理論上で言うと簡単に勝てます。
 ただ、今回は真正面から戦いたくは無いです。
 正直に言えば、わたしだってあいつがどこまでやれるようになったのか、確かめたいとは思いますが、ね」

 
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