まだ誰も知らない恋を始めよう
「いいね、ダニエルのそーゆー素直なとこ、今はすごくありがたいよ」
 
「素直じゃなくて馬鹿だ……、こんなのがバディじゃ不安じゃない?」

「全然! この先も天然発言、お願いします」

 天然……自分の事をそんな風に思った事は一度も無い。
 でも、その馬鹿さ加減がフィニアスに笑いをもたらして、彼は少しだけ元気を取り戻したように見えたから、話を戻す事にする。
 

「確認したいんだけど、ロジャーは魔力持ち?」

「いや……俺の知る限り、魔力は無かった」

「今回の感じだと、貴方は魔法に掛けられたんだと思うの。
 で、その犯人がロジャーだとしたら、魔力が無い彼は誰かに依頼するしかない。
 それでね、貴方は『外れ』って聞いた事ある?」
 
「はずれ?」

「魔法学院を途中でドロップアウトしたり、魔法庁に就職しても、お金のために何でもする黒魔法士の事で、総称して『外れ』と呼ばれているらしいの」

「黒魔法士!? その話、誰に聞いたの?」

「今日の休憩時間にね、一緒になったジェリーって、まだ高等学院の3年生。
 年下なんだけれど、もう人生2周目くらいに落ち着いてて、何でも分かっている感じの女の子でね。
 あぁ心配しないで、もちろん貴方の名前は出してないよ?
 人を消してしまう魔法ってあるかなぁ、って試しに聞いてみたら。
 魔法学院に当たってみたらどうですか、って。
 それでね、明後日の月曜日、出勤前にちゃちゃっと行ってみようかと思ってる」

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