まだ誰も知らない恋を始めよう
22 勇者に憧れる彼に複雑なわたし
3年前に兄が魔法庁に入庁を決めた時。
わたしを置いて行くのは心配だからと言って、知り合いの魔法士さんに家全体に保護魔法を掛けて貰ったのは、聞いていたけれど。
「この家に、どんな魔法を掛けたの?」
「……」
建物にかける保護なんて、招かれざる客による外部からの侵入を防ぐ魔法なのだろうと思っていたけれど。
それが、こんな形で?
「20時以降に、この家に居座っている」?
「一緒に居るのが、女の子でありますように、と駆けつけた」?
いつも忙しいと嘆いていた兄が、この家を見張っていた?
そんな話は聞いてない。
3年前、迎えの車を待たせながら、沈痛な表情の兄がわたしに言ったのは
「お兄ちゃんが居なくても大丈夫なように、ちゃんとしたからな。
悪い奴は入れないから」だ。
「こんなことは言いたくないけど。
わたしが家で何をしてるか、監視してたの?」
「……監視と言うわけでは、なく」
「今この家に住んでるのは、わたしなの。
この家に掛けられた魔法なら、わたしには知る権利はあると思いますが?」
「……その突き放す言い方、やめて」
わたしを置いて行くのは心配だからと言って、知り合いの魔法士さんに家全体に保護魔法を掛けて貰ったのは、聞いていたけれど。
「この家に、どんな魔法を掛けたの?」
「……」
建物にかける保護なんて、招かれざる客による外部からの侵入を防ぐ魔法なのだろうと思っていたけれど。
それが、こんな形で?
「20時以降に、この家に居座っている」?
「一緒に居るのが、女の子でありますように、と駆けつけた」?
いつも忙しいと嘆いていた兄が、この家を見張っていた?
そんな話は聞いてない。
3年前、迎えの車を待たせながら、沈痛な表情の兄がわたしに言ったのは
「お兄ちゃんが居なくても大丈夫なように、ちゃんとしたからな。
悪い奴は入れないから」だ。
「こんなことは言いたくないけど。
わたしが家で何をしてるか、監視してたの?」
「……監視と言うわけでは、なく」
「今この家に住んでるのは、わたしなの。
この家に掛けられた魔法なら、わたしには知る権利はあると思いますが?」
「……その突き放す言い方、やめて」