まだ誰も知らない恋を始めよう
「研究資金が潤沢過ぎる。
うちの大学は公立でしょう、いくらシーバス教授がマスコミ受けする見映えのいい女性教授であっても、彼女1人に多くの予算は割り当てない。
なのに、彼女が長期の休みの度に現地調査等の理由を付けて国外へ出る回数は、他の教授達よりも多い。
お金持ちのパトロンが資金提供して後援している感じでもないし、夫のドナルドは外務省職員で、そんなには稼げない。
彼女の専門は歴史美術史で、考えられるとしたら、妻が手に入れた外国の歴史的な芸術品を夫の外交ルートを利用して持ち込み、自分達は表に出ず人を使って好事家達にオークションで競わせて、高く売りつけて……」
「俺が夫を調べてるから、自分は妻の方を、ってことか?
魔法庁も外務省もその上も、関係者を一斉に捕縛したいから、ふたりを敢えて泳がせているんだぞ?
どうして勝手にそんな危険な真似をする?
アイリーンだけを捕まえても、却って他の奴等を逃がすだけだ。
自分の能力を認めて貰いたかった?
親父も俺も、お前には好きな道を自由に選んで欲しいから、魔法庁には見つからないように」
「だから! だからなの!
わたしはお父さんや兄さんと同じ特務に進みたいの!
来年、アイリーンの国外調査に同行して、現地で証拠を掴んで。
それから兄さんには話そうと決めてた。
勝手に捕まえるなんてしない。
わたしだってマッカーシーの人間だもの、ちゃんと出来る、って兄さんに証明して……」
わたしの愚かな企みの言い訳のような主張には、その先は無かった。
うちの大学は公立でしょう、いくらシーバス教授がマスコミ受けする見映えのいい女性教授であっても、彼女1人に多くの予算は割り当てない。
なのに、彼女が長期の休みの度に現地調査等の理由を付けて国外へ出る回数は、他の教授達よりも多い。
お金持ちのパトロンが資金提供して後援している感じでもないし、夫のドナルドは外務省職員で、そんなには稼げない。
彼女の専門は歴史美術史で、考えられるとしたら、妻が手に入れた外国の歴史的な芸術品を夫の外交ルートを利用して持ち込み、自分達は表に出ず人を使って好事家達にオークションで競わせて、高く売りつけて……」
「俺が夫を調べてるから、自分は妻の方を、ってことか?
魔法庁も外務省もその上も、関係者を一斉に捕縛したいから、ふたりを敢えて泳がせているんだぞ?
どうして勝手にそんな危険な真似をする?
アイリーンだけを捕まえても、却って他の奴等を逃がすだけだ。
自分の能力を認めて貰いたかった?
親父も俺も、お前には好きな道を自由に選んで欲しいから、魔法庁には見つからないように」
「だから! だからなの!
わたしはお父さんや兄さんと同じ特務に進みたいの!
来年、アイリーンの国外調査に同行して、現地で証拠を掴んで。
それから兄さんには話そうと決めてた。
勝手に捕まえるなんてしない。
わたしだってマッカーシーの人間だもの、ちゃんと出来る、って兄さんに証明して……」
わたしの愚かな企みの言い訳のような主張には、その先は無かった。