神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
「なんで僕のことなんかに、そんなに必死になるの?僕みたいな…汚い暗殺者に」
何が汚い、だ。
命令されて、無理矢理暗殺者に仕立て上げられたお前が汚いなら。
自ら望んで、神に反旗を翻したシルナは。その罪の器である俺は、一体どうなるんだよ。
「何度も同じことを言わせるな。お前は俺達の仲間だ。仲間を助けるのは当然のことだ」
お前が暗殺者だろうと、普通の人間だろうと、天使だろうと悪魔だろうと関係ない。
そんなことに、今更俺が頓着すると思ったか?
「みんなで助けに来たんだよ。イレースも天音もマシュリも…。ジュリスとベリクリーデまで来てくれてるんだからな」
今は別行動中だけどな。
今頃、彼らも無事だったら良いのだが。
「絶対、一緒に帰るんだ。さぁ、こっちに来い」
俺は鉄格子の隙間から、手を差し伸べた。
「それともなんだ。お前はここにいたいのか?暗殺者に戻りたいのか」
「まさか…!そうじゃない。僕は、もう暗殺なんて…」
…そうか。
それを聞けて安心したよ。
自分の意志で戻ってきた訳じゃないんだ。やっぱり。
「だけど…でも、僕は…」
本当は、『アメノミコト』なんかにいたくないのに。
それでも、令月がこの鉄格子から出ようとしない理由。
大体、想像はついている。
「…お前を縛り付けているものは何だ?鬼頭に脅されてるのか」
「…」
やっぱり、そうだったんだな。
あのクソジジィ…。絶対許さねぇ。
「…僕がここを出ていけば、『八千歳』が僕の代わりに、暗殺者に戻らなきゃいけない」
令月は、ぽつりとそう語った。
「僕が大人しく…暗殺者に戻れば、『八千歳』はルーデュニア聖王国に返してくれるって…」
「そう脅されたのか」
「…」
返事をする代わりに、こくりと頷く令月。
成程な。
…そんなことだろうと思った。
令月を脅そうと思ったら、それくらい言わなきゃ。
大事な相棒の為に、自分を犠牲にしてでも、相棒だけはルーデュニア聖王国に返そうとする。
そんな令月の…年相応な健気さに、俺は胸が苦しくなった。
同時に、腸が煮えくり返る思いだった。
令月を脅した、鬼頭夜陰に対する怒りだ。
これまでも散々…まだ子供である令月とすぐりを苦しめて。痛めつけて。
その上…まだ、この二人を利用しようというのか。
何処まで悪辣なんだ。あの男は。
「…どちらかが戻って、どちらかがここに残らなきゃいけないなら…僕よりも、『八千歳』が戻った方が良い」
「…」
「お願い。助けるなら、『八千歳』を助けてあげて。彼を連れて、ルーデュニア聖王国に帰って」
本当は、自分だって助かりたいはずなのに。
自分だって…ルーデュニア聖王国に帰りたいはずなのに。
令月が懇願したのは、すぐりを助けることだけだった。
「『八千歳』の方がずっと、光の下で生きていく才能がある…。それに、中途半端な力魔法しか使えない僕なんかより、ずっと魔導師に向いてる」
「…」
「ツキナだって、僕よりも『八千歳』に帰ってきて欲しいと思ってるはずだよ。だから、『八千歳』を連れて…」
「…お前は、馬鹿か」
ふざけんなよ。
そんなこと言われて、はいそうですか、って言うことを聞くと思ったか?俺が。
どちらかを見捨てて、どちらかだけを連れて帰るなんて。
そんな身を切られる思いをするくらいなら…舌噛んで死んだ方がマシだっつーの。
何が汚い、だ。
命令されて、無理矢理暗殺者に仕立て上げられたお前が汚いなら。
自ら望んで、神に反旗を翻したシルナは。その罪の器である俺は、一体どうなるんだよ。
「何度も同じことを言わせるな。お前は俺達の仲間だ。仲間を助けるのは当然のことだ」
お前が暗殺者だろうと、普通の人間だろうと、天使だろうと悪魔だろうと関係ない。
そんなことに、今更俺が頓着すると思ったか?
「みんなで助けに来たんだよ。イレースも天音もマシュリも…。ジュリスとベリクリーデまで来てくれてるんだからな」
今は別行動中だけどな。
今頃、彼らも無事だったら良いのだが。
「絶対、一緒に帰るんだ。さぁ、こっちに来い」
俺は鉄格子の隙間から、手を差し伸べた。
「それともなんだ。お前はここにいたいのか?暗殺者に戻りたいのか」
「まさか…!そうじゃない。僕は、もう暗殺なんて…」
…そうか。
それを聞けて安心したよ。
自分の意志で戻ってきた訳じゃないんだ。やっぱり。
「だけど…でも、僕は…」
本当は、『アメノミコト』なんかにいたくないのに。
それでも、令月がこの鉄格子から出ようとしない理由。
大体、想像はついている。
「…お前を縛り付けているものは何だ?鬼頭に脅されてるのか」
「…」
やっぱり、そうだったんだな。
あのクソジジィ…。絶対許さねぇ。
「…僕がここを出ていけば、『八千歳』が僕の代わりに、暗殺者に戻らなきゃいけない」
令月は、ぽつりとそう語った。
「僕が大人しく…暗殺者に戻れば、『八千歳』はルーデュニア聖王国に返してくれるって…」
「そう脅されたのか」
「…」
返事をする代わりに、こくりと頷く令月。
成程な。
…そんなことだろうと思った。
令月を脅そうと思ったら、それくらい言わなきゃ。
大事な相棒の為に、自分を犠牲にしてでも、相棒だけはルーデュニア聖王国に返そうとする。
そんな令月の…年相応な健気さに、俺は胸が苦しくなった。
同時に、腸が煮えくり返る思いだった。
令月を脅した、鬼頭夜陰に対する怒りだ。
これまでも散々…まだ子供である令月とすぐりを苦しめて。痛めつけて。
その上…まだ、この二人を利用しようというのか。
何処まで悪辣なんだ。あの男は。
「…どちらかが戻って、どちらかがここに残らなきゃいけないなら…僕よりも、『八千歳』が戻った方が良い」
「…」
「お願い。助けるなら、『八千歳』を助けてあげて。彼を連れて、ルーデュニア聖王国に帰って」
本当は、自分だって助かりたいはずなのに。
自分だって…ルーデュニア聖王国に帰りたいはずなのに。
令月が懇願したのは、すぐりを助けることだけだった。
「『八千歳』の方がずっと、光の下で生きていく才能がある…。それに、中途半端な力魔法しか使えない僕なんかより、ずっと魔導師に向いてる」
「…」
「ツキナだって、僕よりも『八千歳』に帰ってきて欲しいと思ってるはずだよ。だから、『八千歳』を連れて…」
「…お前は、馬鹿か」
ふざけんなよ。
そんなこと言われて、はいそうですか、って言うことを聞くと思ったか?俺が。
どちらかを見捨てて、どちらかだけを連れて帰るなんて。
そんな身を切られる思いをするくらいなら…舌噛んで死んだ方がマシだっつーの。