内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「藍里、もう隠さなくていい。三年前、俺に電話をしなかったのは、彼女との結婚報道が原因だったんだろう?」
藍里は弾かれたように蒼佑を仰ぎ見た。
「やっぱりそうだったのか……。藍里もあのゴシップ記事を読んだんだな」
蒼佑は心底忌々しそうに髪を掻き上げた。
「あれは悪質なでっちあげだ。たしかに何回か食事に行ったが、いつも猪口社長と一緒だった。それを勝手に写真を切り貼りして、あたかもふたりきりだったように仕立て上げられたんだ。挙句の果てには結婚間近だのと騒ぎ立てて……」
蒼佑は吐き捨てるように言った。
間違った記事が発信されたせいで生み出された誤解に、怒りが抑えられないようだ。
「でも……蒼佑さんだって一度くらいは麗佳さんとの結婚を考えたことがあるでしょう?」
麗佳の好意はあからさまだ。あれだけアプローチをされていて、気がつかないはずがない。
蒼佑は藍里の訴えに苦笑した。