内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。

「イヤリング? それともネックレスか? ほら、これなんかどうかな? 璃子が大きくなったら、リメイクしてプレゼントできるようにしても――」
「もらえません」

 藍里が咄嗟に口をついたのは拒絶の言葉だった。

「どうした?」
「私は蒼佑さんからジュエリーをもらえるような立場じゃありません」

 頑なに拒む藍里に、蒼佑は訝しげに眉を顰めた。

「どういう意味か説明してくれ」

 口を噤んだままでいると、蒼佑はとうとう痺れを切らす。

「誰かになにか言われたのか?」

 正確に言い当てられ一瞬ドキリとしたが、藍里は首を横に振った。

「違うんです」

 きっかけは麗佳だったが、蒼佑と釣り合わないという思いは心のどこかにはあった。
 それでも彼と結婚したのは、璃子のため、絵の代金と引き換えにするためという大義名分があったからだ。
 彼の隣に立つ自信なんて最初から持ち合わせていなかった。虚勢を張っていただけで本当の自分はこんなにも脆い。
 しかし、蒼佑はそんな藍里の心の弱さを見抜いていた。
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