内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「臆病者でごめんなさい。蒼佑さんに拒絶されるのがただ怖かったんです」
「これ以上、自分を責めなくていい」
蒼佑はやるせない思いを吐き出した安堵で泣き出す藍里の目尻をそっと指で拭った。
「藍里は俺をどう思っている? 正直に話して」
「愛していますっ」
藍里は矢も楯もたまらず、すべてを打ち明けた。
――蒼佑を心から愛している。
一度認めてしまえば、伝えずにはいられない。
「ずっとその言葉が聞きたかった」
蒼佑は穏やかに微笑むと、愛する妻をシーツの海に沈めた。
ふたりの間にあった壁はすべて取り除かれた。
甘い口づけを交わしながら、服が脱がされていく。
終わったと思っていたあの夜の続きがもう一度始まる。
吐息が鎖骨をくすぐり、胸の膨らみが甘噛みされる度に藍里は喜びの声を上げた。
「愛してる」
藍里は耳もとで甘く囁かれながら、彼の昂りを受け止めた。生まれたままの姿で抱き合えば、気にしていた格差も関係ないと思えた。
(蒼佑さんと二度と離れない)
蒼佑から愛を注がれながら、藍里は心に誓ったのだった。