内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。

 ◇ 

「がお~!」

 夕食前のリラックスタイム、リビングのテレビの前では璃子が四つん這いになりライオンの真似をしていた。

「あはは! 上手ね!」

 藍里が手を叩いて喜ぶと、璃子は張り切って鳴き声を真似する。
 ここ数か月、璃子は子供向けの教育番組で放送されている【ガオガオ体操】に夢中だ。
 体操のお兄さん、お姉さんがリズムに合わせてライオンの真似をしながら、発育を促す体操を教えてくれるのだ。
 最初は見よう見まねで手足をバタバタ動かしているだけだったが、今やすっかり順番を覚えてしまった。
 毎日、この時間はテレビの前で待機しているぐらいお気に入りなのだ。

(練習の成果を蒼佑さんにも見せなくちゃ)

 短い手足を一生懸命伸ばす姿は元気でかわいらしく、クスリと笑みがこぼれる。
 あとで蒼佑にも見せようと思い立ち、スマホで動画を撮っておく。
 璃子の愛らしい姿を見たら、仕事の疲れも吹き飛ぶだろう。

「がおがお〜!」

 三分ほどの体操も終盤。璃子が大きく足を上げ、四股を踏んだそのとき、パッとテレビの画面が切り替わる。
< 161 / 187 >

この作品をシェア

pagetop