内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
おままごとよろしく、積極的に弟の世話を焼き、おむつを交換するのを手伝ったり、添い寝でトントンと胸を叩いたりする。
それは蒼佑も同じだ。
璃子が生まれたときは、その存在を知らされていなかったので、赤ん坊のお世話はなにもかも初めての経験。いつも張り切って沐浴や、寝かしつけをしてくれる。
たくさんの愛に包まれた青唯の周りに流れる空気はいつも温かい。
(今のうちね)
藍里はそんなふたりの様子に胸いっぱいになりながら。キャンパスに鉛筆を走らせる。
青唯が大人しく寝ている内にできるだけ下書きを進めなくてはいけない。
絵を描くのはずいぶんと久し振りだ。父のように上手く描けるかどうかは別だが、記録に残すなら写真よりも絵の方いいと、どうしても思ったのだ。
多分、渚の母娘の絵を描いた父も同じ気持ちだったのだろう。
――この幸せな光景を永遠にキャンバスの中に閉じ込めておきたい。
「青唯くん、お姉ちゃんがずっと守ってあげるからね〜!」
璃子はそう言って青唯の頭を優しく撫でる。
三角家に新たに生まれた天使は、新しい幸せを運んできてくれた。
おわり


