内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「こんにちは、璃子ちゃん」
蒼佑が声を掛けると璃子はふいっと藍里のスカートの後ろに隠れてしまった。
スカートの裾をぎゅっと握りしめ、警戒心も露わに蒼佑をじいっと見つめている。
「璃子、『こんにちは』よ。言ってごらん」
「こんにちは……」
藍里に促されると、顔を半分だけ覗かせ渋々挨拶を返す。なんとか挨拶ができて、ホッと胸を撫で下ろす。
いきなり知らない男性から親し気に話しかけられて、少し驚いたのだろう。
人見知りをしないタイプだと思っていたけれど、今後は認識を改める必要があるのかもしれない。
蒼佑はわじわじ膝を曲げその場にしゃがむと璃子と目線を合わせた。
「今日から璃子ちゃんの家族になります。よろしくね」
「かぞく?」
璃子はまだ蒼佑が自分の父親だとよくわかっていないようだ。蒼佑の顔を見て、不思議そうに首を傾げている。
(毎日一緒にいたら慣れるかな?)
初対面はまずまずの結果に終わった。
「屋敷を案内するよ」
蒼佑は気を取り直すようにそう言うと、藍里と璃子を屋敷の中へといざなった。