内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「うわあ……」
藍里は感嘆の声を上げながら玄関ホールの高い天井を仰ぎ見た
外観も素晴らしかったが、内装もそこかしこに建築家のこだわりがみられるアールデコ調になっている。
蒼佑の話では、一階は主のためのリビングや応接室になっていて、二階には食堂や厨房、ダンスホールなどがあるそうだ。
「蒼佑さんのご両親はどちらに?」
「両親は本邸に住んでいる。ここは祖父母が住んでいた別邸だ」
「別邸?」
「ああ、本邸に比べたらこぢんまりしているが、こちらの方が庭も広いし自然も豊かで子どもにもいい環境かと思って。改装は済んでいて、必要なものは揃っているから安心してほしい」
「こ、こぢんまり……?」
どうも先ほどから話についていけていない。三角家の別邸はどう考えても藍里のアパートの何十倍もの広さがあった。
蒼佑は手始めに一階の西側にあるリビングへとふたりを案内する。
「ここがリビングだ」
「ぞうさんのすべりだいだ~!」
リビングに入るなり、璃子は一目散に室内用のアスレチックに駆け寄っていった。
リビングの一角には子どもが遊べるスペースも設けられていて、立派なおままごとセットまである。
「気に入ってくれたみたいでよかった」
蒼佑は安心したように、滑り台を滑る璃子を見守っていた。
この洋館に最初から子供用のおもちゃやアスレチックがあったとは考えにくい。
まさか彼が選んだのだろうか?