内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
(ダメね。いつまでも暗い顔していたら璃子を不安にさせてしまう)
なにせ、いきなり現れた父親の存在を璃子が受け入れられるかどうかは、藍里の肩にかかっている。
(うん、がんばろう!)
決意を新たにしたそのとき、チャイルドシートにのせられていた璃子から歓声が上がる。
「ママ! みて~! おっきいおうちがある~!」
璃子は窓の外を指差していた。
車はいつの間にか市街地を抜け、小高い丘を上っていた。璃子が指差したその先には一軒の洋館が聳え立っていた。
ターコイズブルーの屋根、外壁は白い煉瓦ができており、飾り窓やバルコニーはアールデコ調の幾何学模様になっている。
車はまさしくその洋館に向かっており、綺麗に整えられた庭木を抜けた先にある立派なロータリーで停車した。
車が到着するやいなや、蒼佑が階段を駆け下り出迎えにやって来る。
「藍里、無事に着いてよかった」
「これからお世話になります」
璃子とふたり車から降りた藍里は蒼佑に向かって頭を下げた。