内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
◇
「マーマ! おきて~!」
「ん……」
朝から璃子に身体を激しく揺さぶられ、ようやく藍里は重たい瞼を持ち上げ目を覚ました。
璃子は随分前から起きていたみたいで、ベッドの上を忙しなく動き回っている。
「え!?」
ベッドボードに置いたスマホで時刻を確認した藍里は即座にベッドから跳ね起きた。
時刻は十時。予定していた起床時間を二時間以上過ぎている。すっかり寝坊してしまったようだ。
急いで璃子共々身支度を整え食堂に行くと、小牧が快活な挨拶で出迎えてくれた。
「おはようございます、奥様」
「おはようございます、小牧さん」
テーブルの上には璃子と藍里の分しか、食器が用意されていない。
「あの……。蒼佑さんは?」
「一時間ほど前にお出かけになられましたよ」
「そう、ですか……」
婚姻届を一緒に提出しに行くとはずだったのに、藍里が寝坊したせいで先に出掛けてしまったようだ。
一緒に暮らし始めて二日目から朝寝坊なんて、だらしないにもほどがある。
「引っ越しで疲れているみたいだから、ゆっくり寝かせてやれとのお言いつけですよ」
蒼佑が言うように、昨晩の藍里は慌ただしく済ませた引っ越しと荷解きのせいで疲れ果てていた。
それにくわえ、最高級のベッドの寝心地は相当なもので、朝までぐっすり寝てしまった。心なしか身体も軽い。