内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「今、ご朝食を用意しますからお待ちください」
「ありがとうございます」
朝食は近隣のベーカリーから仕入れたという美味しそうな丸パンに、野菜がたっぷり入ったミネストローネとオムレツだった。
小牧が作ってくれた朝食を食べたあとは、蒼佑の帰宅を待ちつつリビングで寛ぐ。
璃子に付き合い、おままごとのキッチンセットで遊んでやる。
(こんなにゆっくりするのは久し振りかもしれない)
平日は朝から慌ただしく璃子を保育園に送り、仕事が終わってからは夕食、お風呂と翌日の支度に奔走する怒涛の毎日。
休日も溜まった家事を片づけたり、生活必需品の買い出しで終わり、一日があっという間に通り過ぎていく。
ところが、三角家の屋敷では主な家事を家政婦が担っている。
藍里が手を出さなくても、プロの仕事を見守るだけでいい。
「ママ! よんで〜!」
「はーい」
おままごとに飽きた璃子が持ってきたのは、大好きな『どうぶつ森のピンクのうさちゃん』の絵本だ。
藍里は璃子を膝の上にのせ、絵本を開いた。
「ピンクのうさちゃんはどこに隠れているかな〜?」
「ここ〜!」
璃子は挿絵の中からピンクのうさぎを次々と探し出し指をさしていく。すべてのページでうさぎを見つけ終わると、絵本は終わりだ。