キミと桜を両手に持つ
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「弊社は主に30代から40代の結婚を本気で考えているユーザーが多いです。よくあるマッチングアプリと違ってコンピューターによるデータマッチングだけでなく経験あるアドバイザーが実際に相性を見て一緒にお相手を選ぶお手伝いをするのでかなり結婚率が高いんです。だからよくあるマッチングアプリとは違ってとても信頼できるサービスだと言うことを全面に押し出した形のサイトにしたいと思います」
「分かりました。ではまず登録された会員を管理をする機能ですが──」
藤堂さんは資料を見せながらサイトにつける機能などの提案をしている。その説明を聞きながら私もメモをとってサイトの構成案や方向性を考えていると、今回のプロジェクトの担当者、琴森さんがフォルトゥナが主催する婚活パーティーの説明を始めた。
「婚活パーティーもカジュアルなものからプレミアムステータスのものまでいろいろあります。このプレミアムステータスパーティーなんですが、ハイスペックの……そうですね……ちょうど藤堂さんのようなビジネスエリートの男性ですね、との出会いを求めたワンランク上の婚活パーティーも弊社では主催しています」
琴森さんは藤堂さんをチラリと見て少し顔を赤くすると、プレミアム婚活パーティーの資料を見せてくれた。パーティーはホテルの最上階にある高級レストランで行われるものや、豪華クルーズで行われるものなどいろいろある。
「ここに参加される男性は、経営者や医師、大手企業のエリートなどいわゆる3高男性ばかりで、真剣に結婚を考えている独身女性との出会いを求める場となっています」
「あの、このリアル脱出ゲームというのはなんですか?」
詩乃さんは突然読んでいた資料を指差した。よく見るとプレミアムパーティーの一覧の一番下に期間限定で行われているリアル脱出ゲームというのがある。