キミと桜を両手に持つ
「そんなことないです。なかなか綺麗にまとめてあってこちらとしても御社がお考えのサイトがよくわかりました」
確かにもたついたところもあったけど、彼女のプレゼンはよくできていた。私は心から彼女にそう告げた。
「あ、ありがとうございます。以前のリーダーは夏目さんだったんですけど、彼女は私と違ってすごくよく仕事ができる人で……。できるだけ皆の足を引っ張らないようにって頑張ったんですけど……」
「足なんて引っ張ってないよ。すごく良かったじゃん」
隣にいる鷹取さんと言う男性が彼女を褒めた。すると彼女は「そ、そうかな…。でも私、仕事が全然出来ないから…」と、顔を赤らめ恥ずかしそうにした。
「ははっ、そういうところ、香澄ちゃんって本当可愛いよね」
更に顔を赤らめた花園さんを見て、鷹取さんは苦笑いした。
「あの……如月さんも皐月さんもネットアーチで働いている方って皆さん仕事もできてお洒落で綺麗なんですね」
唐突に花園さんはそう言うと、私と花梨ちゃんをじっと穴が開くほど見つめた。
「いえいえ、そんな事ないですよ。花園さんもとても可愛らしくて綺麗ですよ。素肌がとてもお綺麗で羨ましいです」
花梨ちゃんがそう答えると、彼女は慌てて首を振った。
「いえ、とんでもないです!私は昔からこういう地味顔で、痩せて胸もないし、服も何を着たらいいのか全然よくわからないし、皆わたしを地味な女だと思ってると思います」
彼女は化粧気がないものの可愛らしい顔立ちをしている。想像したような絶世の美女ではないけど、メイクをしてヘアスタイルをちょっと工夫すればすごく綺麗になる人だと思う。胸が小さいと言うけどわたしから見れば標準体型。そんな彼女がわざとらしく私と花梨ちゃんに言っているわけでもなく、本当に恐縮して本心から言っているように見える。