キミと桜を両手に持つ
「でももし君のお母さんのように一人で生きていかなければならなくなった時や一人で子育てをしなければならなくなった時に困らないようにと育てたんだ。
愛情って時々わかりにくいよな。愛してるからこそ厳しい時もある。お母さんはいつか君をこの世に一人だけ残して死んでしまった時の事を考えてすごく心配したんだ。
こんなにも君を愛して育ててくれた母親が君が誰かに愛されて幸せになるのを望まなかったとは思わない」
藤堂さんにそう言われ、目の前が涙で霞んでくる。お母さんは一体どんな思いで私を育ててくれたんだろう……。
私が母のように誰かに裏切られ傷つくことを恐れていた?それとも彼が言うように私がいつか誰かに愛されて幸せになることを望んでた?
「本当にそう思ってくれてたかな」
「俺はそう思う」
彼はわたしの頬を大きくてあたたかい手で優しく包み込んだ。
「凛桜、君はもう一人じゃない。俺がいる。だから辛い時はいつでも俺に寄りかかればいいんだ。これからは俺がずっと君の側にいる。……俺が君を愛してる」
彼は私に顔をゆっくりと近付けると優しくキスをした。何度も唇を押しつけては彼がどれだけわたしを愛しているかわかるようにキスをする。
「……今から君を俺のものにしてもいい?抱いてもいい?」
キスの合間に熱っぽく耳の中に囁かれ、迷わずコクコクと頷く。彼にこんなにも求められている事が素直に嬉しい。
藤堂さんは「しっかり掴まって」と言うと私を軽々と抱き上げた。そしてゆっくりと彼の寝室へと向かった。