キミと桜を両手に持つ
「きっとまた会えるよ。大丈夫」
「また遊んでくれる?」
「うん、また一緒に遊ぼうね」
紬ちゃんはそれで満足したのか「約束ね」と言うと再び美咲さんの方へと走って行った。
✿✿✿
「俺の家族どう思った?」
子供達が寝静まった後、露天風呂に入りながらガラス窓越しに見える美しい景色を眺めていると、隣にいる藤堂さんが尋ねてきた。
「とても素敵な家族です。ご両親も優しくて、お兄さん、お姉さん達もすごく親切で優しい人達ばかりで……」
どうして藤堂さんがこんなに真面目で優しい人なのか家族を見ればすぐにわかる。お父さんの卓さんもそうだけど、お兄さんの泰斗さんも責任感が強くてとても真面目な人だ。一見、藤堂さんと同じでちょっとお堅くて近寄りがたい雰囲気があるけど、でもよく話してみると優しくて知的なユーモアがある楽しい人だ。
「ご家族に会えて本当によかったです。一樹さん、ここに連れてきてくれてありがとう」
隣にいる彼にそう微笑むと、藤堂さんはそっと私を引き寄せて肩を抱いた。私は彼に寄りかかると再び外の美しい風景を眺めた。
窓越しに見える庭はこの露天風呂の長さに合わせたなかなか広い日本庭園で、でも塀に囲われているのでとてもプライベートになっている。庭師さんがいつも綺麗にしているのか手入れも行き届いていてライトアップされていてとても美しい。
「子供達、皆とっても良い子ですごく可愛いですよね」
先程まで二階の和室でUNOと言うカードゲームをして子供達と一緒に遊んでいたのを思い出す。小さな子供たちはじっと座ってゲームができないし、ルールは間違えるし、英語と日本語が飛び交ってわけわからなくなってる部分もあったけど、でも玲央くんと羅衣くんは小さなイトコ達を上手くまとめてくれて皆で楽しく遊んだ。