キミと桜を両手に持つ

 「凛桜は子供好き?」
 
 「子供は大好きです。私は一人っ子だったし、従姉妹もいなかったからこういう風に親戚や兄弟姉妹と一緒に遊ぶことにすごく憧れてて……。だから子供達が遊んでるのを見てると微笑ましくてすごく楽しかったです」

 子供達の話をしてると、急に紬ちゃんが言った言葉を思い出す。ドキッとして隣で外の景色を眺めている藤堂さんをこっそり盗み見た。彼も私との結婚を意識することがあるのかな……。

 私達は同居はしていたものの実際に付き合い始めたのはつい最近。結婚なんてまだまだ先の話だけど、でも今日彼のご家族に会って藤堂さんとの未来はどんなものか容易に想像できる。

 彼は子供好きだしなんといっても包容力がある。面倒見もいいし、辛抱強いしきっといいお父さんになると思う。そんな事を彼の横顔を見ながら考えていると彼は急に振り向いて私を見た。

 「そっか。じゃあ凛桜は子供は多い方がいい?」

 彼の手がするりと腰のくびれを撫でながら私を引き寄せた。彼に触れられて急にドキドキして肌が粟立ってくる。コクンと頷くと「何人欲しい?」と耳の中に囁いた。

 「少なくとも2人は欲しいかなって。でも一樹さんのところみたいに四人兄弟姉妹というのも楽しいかも……」

 いつか彼との子供ができる未来を思い浮かべてみる。藤堂さんに似た男の子とそして私に似た女の子。一緒に魚釣りに行ったりキャンプに行ったり、お盆や年末はこうして家族で集まって一緒に食事したり、子供達が皆で一緒に楽しく遊んでいるのを共に眺めたり……。そんな未来があったらどんなに幸せだろう……。

 彼は私の腰を両手で掴むと彼の腰に跨って向かい合わせになるように私を座らせた。急に彼との距離が縮まってドキドキと心臓が早鐘をうつ。
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