キミと桜を両手に持つ
何と声をかけたらいいのか分からなくて戸惑っていると、急に温かくて大きな手が私の背中に添えられた。
「……一樹さん……」
「君達がここにいるのが外から見えたんだ」
彼は深く溜息をつくと目の前にいる花園さんを見た。
「……あの、私、家に帰ってご飯作ってますね」
きっと二人だけで話したいだろうと思い席を譲ろうと立ち上がると、藤堂さんは私の手をギュッと握りしめた。
「待って。一緒に帰ろう。店の前で少しだけ待っててくれ」
そう言ってじっと何か考え込んでいる彼と突然現れた藤堂さんに驚いている花園さんを残して私は店の入り口へと歩いた。
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一樹はほぼ四年ぶりに会う花園さんをじっと見た。前田さんの言う通り、彼女は本当に以前のままで何も変わっていない。まだ新卒のようなあどけない少女のような顔や自信のない控えめな態度など初めて会った頃のまま。ある意味驚いてしまう。
一樹は凛桜が座っていた椅子を引くと花園さんと向かい合わせに座った。
「俺に話したい事があるのか?」
涙を目にいっぱいに溜めて彼女は頷いた。
「……あの時、裏切るような事をして本当にごめんなさい。あれからずっと後悔してて……。許されるならもう一度やり直したい……」
彼女は溢れる涙をゴシゴシと拭きながら震える声で呟いた。それを聞いた一樹は大きく溜息をついた。
「君は本当にもう一度あの関係をやり直したいと思っているのか?」
あの、長く苦しかった日々を思い出す。毎日どうすればうまくいくのかと試行錯誤して努力しても一向に前に進むことができなかった日々……。
恋人でも夫婦でも一緒に長くいればそれぞれ相手の弱いところが見えてきたり問題に直面するのはごく当たり前だ。でもその度に喧嘩しながらでも努力したり妥協したりして乗り越えていかなければならない。