キミと桜を両手に持つ
言葉を失って車内を見ていると藤堂さんは私の肩を抱いた。
「気に入った?」
「も、もちろんです!……でもこんな凄いプレゼントもらったの初めてです……」
はっきり言って値段なんていくらしたのか想像もつかない。でも私がいつかキャンプに行きたいと言っていたのをずっと覚えていてくれて、こうして夢を叶えようとしている。
まだ真新しくて綺麗な車内を手でそっと触りながら目の奥がじわりと熱くなるのを感じる。もちろんこのキャンピングカーもだけど、でも何よりも彼の心のこもった心遣いに涙が出そうになる。
「一樹さんと一緒にこれからキャンプに行くのが楽しみです」
「よかった。俺も凛桜と一緒に行けるのを楽しみにしてるよ。早速荷物を全てこの車へ移動させよう」
藤堂さんは私を優しく見つめるとぎゅっと肩を抱き寄せた。
その後私たちは荷物を全てキャンピングカーに移動させる。まさか冷蔵庫があるなんて思いもしなかったのでなま物は冷凍して保冷バッグに入れてきた。一応それらをすべて冷蔵庫に入れると、その他の荷物はベッド下にある大きな収納スペースにいれた。準備が整ってキャンピングカーに乗り込むとシートベルトを締めた。
「一樹さん、こんな大きな車運転できるんですね」
「もちろん。凛桜も運転してみる?」
そう聞かれて慌てて首を振る。免許は持っているものの車を持っていないので普通乗用車でさえほとんど運転した事がない。
「運転は一樹さんにまかせます。だから私が行きたい時は連れて行ってくださいね」
……できればこれから先の人生ずっといつまでも──…
藤堂さんは愛しそうに私を見つめると額にチュッとキスを落とした。
「もちろん。君が行きたい時はいつでも連れて行くよ。この先ずっといつまでも」
そう言って彼はエンジンをかけるとゆっくりと車を発進させた。