キミと桜を両手に持つ

 「では、日本食を用意しますね」

 「ありがとう。そう言えば、如月さんは今どの部屋使ってるの?」

 彼はバスルームに向かおうとしてふと立ち止まった。

 「以前詩乃さんが使っていた部屋です。大きい方の寝室は使っていません」

 「そうか。じゃあそっちは俺がこれから使うよ。それじゃちょっとシャワーを浴びてくる」

 彼は私物の入ったバッグを手に取るとそれを持ってバスルームへと消えた。




✿✿✿



 び、びっくりした〜。詩乃さんの従兄って藤堂さんだったんだ。それにしても相変わらずイケメンオーラがすごいなぁ。しかもすごくいい声だった……。

 彼が詩乃さんの従兄だったとは本当にびっくり。でも詩乃さんもだけど藤堂さんも綺麗な容姿で仕事もできる。前から詩乃さんは育ちが良さそうな人だと思ってたけど藤堂さんもそんな感じがする。

 詩乃さんに彼が無事にマンションについたことを伝えようと思って携帯を見ると、私が読み終えなかったメッセージには藤堂さんは彼女の母方の従兄だと書いてあった。すごいハイスペックな一族なんだなぁと思いながら藤堂さんの事を手短にメッセージで伝えると、早速朝食の準備に取り掛かった。

 まず冷蔵庫を開けて見るもあまり食材がなくて炊きたてを冷凍したご飯と卵、野菜が少しにあとは作り置きしてある鶏肉と根菜の入った五目豆くらいしかない。

 作りますなんて言ったけど本当に何にもないな。藤堂さんがいるなら今日たくさん食材買ってこよう。男の人だから沢山食べるよね。 

 結局、あるものでできた朝ごはんは野菜たっぷりのお味噌汁、お好み焼き風にキャベツを沢山入れた卵焼きで仕上げに鰹節とマヨネーズ、お好みソースをかけたもの、それに五目豆とサラダ、デザートに苺というシンプルなもの。
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