キミと桜を両手に持つ
「末っ子?兄姉が3人もいるんですか!?すごい楽しそう!」
私が育った環境と全く違うので、途端に興味が湧いて目をパチリと開けた。
「そうでもなかったぞ。いつも命令されてあれやれこれやれで奴隷のように扱われてたよ」
彼は子供の頃を思い出しているのかクククッと笑った。
「兄は、俺より13歳年上で──」
「13歳も年上!?」
「そう、それで兄弟の中で一番しっかりしてて、今は親父の事業を継いでるんだ」
藤堂さんよりしっかりしてるなんてどんな人だろう。あまり想像できなくて思わずクスリと笑う。
「その下の姉は二番目だからかな、自由奔放でよく俺たちは振り回されたよ。手伝いが大嫌いで母からなにか頼まれるといつも俺に押し付けて逃げてたな。今はアメリカ人と結婚して向こうで暮らしてる」
小さな藤堂さんがお姉さんに雑用を押し付けられて不満を言いながらも真面目にそれを片付けている姿が思い浮かぶ。彼が私と一緒に家事をよく手伝ってくれる理由がわかったような気がする。こうしてお姉さんに鍛えられたからに違いない。
でもお姉さん、国際結婚かぁ。そういえばネットアーチの本社の社長も日本人の奥さんと結婚してたっけ?最近日本だってたくさん外国人が住んでるし、今の時代、国際結婚なんて珍しくないのかもしれない。
「それで俺のすぐ上の姉は、二番目の姉を見て育ったからかな。逆にものすごくしっかりしてて何でもできる人なんだ。だから彼女も親父の事業を一番上の兄と一緒に継いでるよ」
わぁ、すごい。かっこいいお姉さんだなぁ。でもお父さんの事業継ぐってどんな事業なのかな。