悪女だってヒロインになりたいんです。
いかにもモテそうな好青年といった感じの男の子にぺこりと会釈を返す。


「七瀬さん、年はいくつ?」

「16歳です」

「あ、同い年じゃん。全然タメでいいよ」


さすが好青年というべきか、第一印象はなかなかにいい。

話しやすそうな人でよかった。


「フロアの仕事としてお客さんから注文を受けたりお会計をしたり、机の片付けをしたりするんだけど、七瀬さんには早速注文の取り方から教えるね」

「うん」


感じがいいだけではなく坂上くんは教え方もうまくて、二時間くらい働いただけで大体のフロアの仕事は頭に入れることができた。

と言っても、まだまだわからないことだらけでふとした瞬間に覚えたはずのことを忘れてしまうこともあったけど、坂上くんがうまくフォローしてくれたおかげでこれといった失敗もなくあっさりと初日は終了した。


「じゃあ七瀬さんお疲れー。また明日もよろしく」

「お疲れ様です。お先に失礼します」


控え室で店長さんに挨拶を済ませ、一つしかない更衣室で制服に着替える。


「あ、坂上くんも上がり?」
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