火の中の救世主
退院の日、美咲は病院の玄関で悠真と並んで立っていた。
少しだけ頬に血色が戻り、彼女の表情には以前よりも力強さが感じられた。

「今日から新しい生活が始まるんだね」

悠真が微笑みながらそう言うと、美咲も笑顔で頷いた。


その時、美咲はふと立ち止まり、悠真の手を取った。

「ありがとう、悠真。本当に助けてくれてありがとう」

悠真はその手を握り返し、
「これからもずっと一緒にいる」と約束するように言った。
その言葉には揺るぎない決意が込められていた。

退院後、美咲と悠真は新しい生活をスタートさせた。
美咲は大学生活に戻り、少しずつ日常を取り戻していった。
一方で悠真も消防士として忙しい日々を送りながらも、美咲との時間を大切にしていた。 

ある日、美咲と悠真は夕焼け空の下、公園を散歩していた。
ふと立ち止まった美咲が、小さな声でこう言った。

「私ね、この火事とか色んな経験があって気づいたことがあるの」

「何だ?」

悠真が優しく問いかけると、美咲は少し照れくさそうに微笑みながら続けた。

「私は一人じゃないってこと。それに……誰かに守られることって、弱いことじゃないんだって分かった」

その言葉には美咲自身の成長と、新しい決意が込められていた。

悠真も微笑みながら頷いた。
「そうだな。でも、お前自身も強いよ。俺なんかよりずっと」

二人は手を繋ぎながら未来への一歩を踏み出した。




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